Interviewer Back number photographs=Kenji Sakurai Interviewer=Tomomi Watanabe text=Kazuyuki Koenuma
HOME INTERVIEW > Interview File19
※掲載のインタビュー記事は、ポーターズマガジンVol.19(2013年8月)から抜粋したのものです。
※会社名、所属部署名、役職はインタビュー当時のものです。
杜の都・仙台に位置するトライアローの東北支店。 ここの支店長を務める男こそが、2013年上半期のコンサルタントランキング(一気通貫型)で1位に輝いた小岩だ。ひょんなことから人材ビジネスに関わるようになり、たちまちトップの座に上り詰めた彼は、どのようにスキルを身に付けてきたのだろう。また東日本大震災が彼や人材ビジネスに与えた影響とは?一見物静かでクールに見える小岩が、熱く本音をさらけ出した。

エンジニアからコンサルタントへの転身

 キャンディデイトとどれだけコミュニケーションを取ったかに尽きる。2013年の上半期、23名の成約実績を持つ小岩は、成約を上げる秘訣についてそう言い切った。
「働き方の希望や、将来はこうなりたいというキャリアや目標を、ちゃんとヒアリングできているかどうか。キャンディデイトのことをどれだけ知ることができるかが勝負です。できなかったときは必ず失敗に至りますね。もちろんスキルチェックだけではなく、その方の性格や、クライアント先の環境にマッチするかもイメージしながら面談をします」
 コンサルタント歴10年。実績を評価されて6年前から支店長を務めている小岩は、元々電話交換機の検査や解析をしていたエンジニアだった。エンジニアの派遣事業も行っているトライアローにも、コンサルタントではなくエンジニアとして入社予定だった。派遣先も決まっていたが、就業直前に上司から「営業をしてみないか?」と打診される。当時、小岩は二十代半ばだった。結婚をして小さな子どももいた彼は、妻と相談した結果、その提案を受けることに決めた。理由は二つあった。エンジニアとしての派遣先は県外だったため、住み慣れた家から引っ越ししなくてはならないのが一つ。もう一つは、小岩自身、ステップアップのために営業職にチャレンジしたい思いがあったからだ。
「エンジニアをしていたときは、人と話すことが苦手でした。ただ、これからはコミュニケーション力がないといけない。ですので、自分を鍛えるために、営業の仕事を選ぼうと思っていました。実際に、物流会社で営業をしていた時期もあったんです」  こうして、小岩は導かれるようにコンサルタントとなった。トライアローは、エンジニアの派遣と紹介を行っている。そのため、エンジニア出身の小岩には、彼ら彼女らがどういう思いで応募をしてきたか、どんなニーズを持っているか、今後どんな業務やキャリアを希望しているかなど、面談しているととてもよく理解できた。そのため、慣れないコンサルタント業でも辛さを感じることはなかったという。加えて良い上司の存在も、コンサルタントとしての彼を成長させた。
「当時、現在の上司が、ビシビシと営業を一から叩き込んでくれたんです。それが3年くらい続いて、営業のノウハウを吸収していきました。たたき上げに近い感じで成長していきましたね」

キャンディデイトの人生設計を最優先する

 小岩が身に付けたノウハウは、冒頭にある通り、コミュニケーションを大事にすることが中心にある。例えばキャンディデイトと面談をする場合、本人が何を一番優先するかを把握しなくてはいけない。特に複数のエージェントに登録している場合は、トライアローを一番に選んでもらうために、コミュニケーションを重ねてヒアリングしていくのだ。ただし、最も大事なのは、成約よりもキャンディデイトの人生だ。
「宮城県内には、競合のエージェントが約300社ほどあります。当然クライアントが被ることも多く、一つの案件に対して大体 3社はバッティングしますね。キャンディデイトには、当社で就業してもらうよう、無理やり説得することは可能だと思うんです。けれどそれをしたために、キャンディデイトの人生設計が間違った方向に進んでしまった場合、取り返しのつかないことになってしまう。ですので、無理なことはしないです。メリットやデメリットを伝えて、本人に納得してもらった上で就業してもらうことが前提です」
 派遣就業中のエンジニアでも同様だ。クライアント先に常駐していることが多いため、帰属意識が薄れがちになってしまう。それを解消するため、定期的に帰社日を設けて、顔を合わせてのコミュニケーションを取るようにしているという。
「仕事を通じてこういうスキルが身に付いたとか、これまでできなかったことができるようになったとか、そういう声を聞くのが何よりの楽しみですね。またクライアントにも、成長度合いを伝えたり、こういう業務を希望しているが実現可能か? 可能であればスキルアップのためにこういう業務も任せてもらえないか? とお願いしたりして、できるだけ本人の希望が叶うようにしています」
 東北支店では、地元密着型のスタイルを大事にしている。クライアントはほとんどが地場に根付いた企業で、採用する人材もできる限り地元の人だ。Uターン採用も多いという。派遣就業では期間も長い方が多く、12年以上働いている方もいるそうだ。一方で、雇用を維持できなかったときは「本当に残念で悔しい」と小岩は話す。
2次へ

小岩 忍(こいわ・しのぶ)

1978年4月生まれ。岩手県出身。宮城県在住。高校卒業後、エンジニアとして就職。5年勤務後、物流会社にて法人営業。2003年にIT・建設系エンジニアを専門とする一気通貫型人材紹介会社、トライアロー株式会社へコンサルタントとして入社し、現在に至る。2007年から東北支店長を務める。その後2012年より機械設計の受託事業部の責任者も兼務。休日は少年野球のコーチとして息子と過ごす。趣味は釣り、キャンプなど。

[Corporate profile]

トライアロー株式会社

1979年、化学プラントの設計及び施工を目的とした設計事務所として会社を設立。その後は総合エンジニアリング企業として、500社を超えるクライアント企業の業務の多様化や、人事制度の改革および固定費の削減などを支援するパートナーとして、人材の観点からトータルに支援している。主な取引先は通信業界、ソフトウェア業界、建設業界、プラント業界など。ここ数年では通信工事の請負、ソフトウェアの受託開発、機械設計の受託なども展開中。