Hiroki Enomoto

Interviewer Back number photographs=Kenji Sakurai Interviewer=Tomomi Watanabe text=Kazuyuki Koenuma
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コンサルタントが介在する意味を理解し、 ごく普通の仕事をすれば成約率は上がる
※会社名、所属部署名、役職はインタビュー当時のものです。
彼にとっては、全てが「普通のこと」だった。考え方も仕事の方法も、特別なことをしている意識は全くない。それでは、他社よりずば抜けて高い成約率を誇り、求職者からも企業からも感謝され、絶大な信頼を集めている榎本は、ほかのコンサルタントと何が違うのだろう? 数々のエピソードから、そのヒントを見いだせるかもしれない。

他社に絶対負けない質の高いマッチング

 大手ではないので数の勝負では勝てないし、そこで競争しようとも思っていない。他社に絶対負けない、質の高い提案やマッチングが当社の売り、と榎本はブリッジ・ワークスの強みを語った。どんな取り組みが成果に繋がっているか、という問いには、ごく普通のことをしているだけ、と当たり前のように答える。「ごく普通のこと」と言葉にすると、簡単なことをしているように錯覚しがちだが、プロフェッショナルとして「普通のこと」を実践するには、非常に高い意識が必要となってくる。マッチングの例として、とある広告代理店に過去に自己応募して残念ながら不採用になってしまったデザイナーが、榎本の紹介で再び同じ会社にチャレンジしたところ、見事に成約に至ったエピソードを明かす。
「作品を見せてもらったところ、十分に受かるレベルでした。実際、前回の応募では書類審査は通過しているのですが、面接で落ちている。ではどこが上手くいかなかったのか? 経歴を追ったり、面接で話した内容を振り返ったりする中で、つっこみどころを一つひとつ解決していったところ、今回は採用に至ったのです」
 候補者の経歴の中で、ネックになりそうだったのが「高校中退」。面接のとき、企業から必ず突っ込まれるポイントだと榎本は核心。続いて職歴が、一社目は公務員、二社目にデザイン会社という経歴。デザイナーを目指している方なので、二社目は自然な流れだが、なぜ一社目に公務員を選んだのか? という点にも着目。これら二点を、マイナス評価にならないように企業に伝えるために、まず行ったのは徹底的なヒアリングだった。 「彼は両親を早く亡くしており、自分が働いて家計を支えないといけない状況だったので、高校を中退せざるを得なかったのです。本来はデザイナーを志望していたのですが、デザイン学校に通うにはお金が必要。そのため、公務員として働いて、お金を貯めて学校に行き、念願のデザイナーに転身したのです」
 また、三年前の面接時に、面接官とどんなやり取りをしたのかもヒアリングした。すると、本人は「マス広告に携わっていきたい」とアピールをしたのだそう。しかし会社はあらゆる分野の広告を行っているため、特定の分野に絞ったことは逆効果になってしまった。そこで榎本は、広告が多様化している現状を説明。マス広告だけではなく、柔軟な発想で、セールスプロモーションやWEB動画などの提案も行っていくことが必要なことを伝えると、候補者も納得してくれた。これらのやり取りを踏まえて、クライアントに紹介したところ、即採用が決定したのだった。

サプライズでもらった最高のプレゼント

 同様のケースは幾つもある。満足度の高さを証明するかのように、新規登録者の5〜6割がこれまでの相談者からの紹介だ。この割合の高さはどこにも負けないと思う、と榎本は胸を張る。
「とある文房具メーカーで働いていた方が、当社を通じて転職することになったんです。その方が上司に『転職をするのに、ブリッジ・ワークスさんにすごくお世話になりました。もし人を採用するなら、ぜひお願いしてください』と伝えてくれたそうで、上司から連絡が来たんです。他社へ転職するお手伝いをしたものですから、初めは怒られるのかと思っていたら、何と採用を依頼してくださったんです」
 ブリッジ・ワークスを通じて化粧品メーカーに転職した方も、榎本の丁寧なマッチングに感謝し「いつか榎本さんに仕事をお願いできるようになります」と約束した。すると二年後に、「会社の面接採用担当になったんです。今後はぜひブリッジ・ワークスさんに求人をお任せします!」と、主要取引先になってくれたケースもある。
 同時に企業からの信頼も厚く、7割が企業や登録者の紹介である。自ら営業を行うことは、ここ3年間は全くしていないという。さらにある企業の場合、一般の紹介会社を経由すると、書類選考の後に一次面接、二次面接とプロセスがある。しかし榎本の紹介の場合、あらかじめ築いている経営者との信頼関係から、最初から役員面接を受ける事になるのだ。
 ほかにも企業からの信頼や感謝が伝わってくる、こんなエピソードを話してくれた。
「昨年の8月に、取引先のゲーム会社から、採用に貢献したということで表彰いただいたんです。会場の電気が消え、モニターにスライドが映し出されて、私がご紹介した一人ひとりが『榎本さん、ありがとう!』『連れて行ってもらった焼き肉美味しかったです』などと、感謝のメッセージをくれたんです。こんなプレゼントをもらったのは初めてで、嬉しかったですね」
 同社は複数の紹介会社を活用しているが、内定率が6割を超えるのはブリッジ・ワークスのみだという。求職者はもちろん、企業からも絶対の信頼を受けているのだ。 「120%の力で突っ走る性格は 10年前から変わっていません。 『あともう一通メールを打とう!』と 自分の限界まで仕事をしていますね」

人材紹介が転職サイトと同じではいけない

 スカウトメールの返信率も高い数字を誇る。その際、すぐに転職の相談が来ることは期待しておらず、まずは会話ができればOKだと榎本は言う。
「職歴を見ただけで100%のマッチングは難しい。ですので、まずはストライクゾーンだと思われる求人を送り、返事が来ればラッキーです。『私が希望するのは他の会社』『内定が決まっているのでお断りします』などの返事でも、会話ができ、自分の意思を伝えられる方は必ず内定を取ることのできる方です」
 実際、他社で内定が決まっていた方も、スカウトメールがきっかけで榎本とやり取りをするようになり、提示したほかの会社にエントリーすることを決意。見事に内定をもらった事例があるのだ。
現在、多くの紹介会社で、ピラミッド型のサイクルができていることを榎本は指摘する。1件の成約を取るために、2件の内定が必要。その2件のためには、三次面接に4人残すことが必要。その4人のためには二次面接に8人が必要……という算段が続き200人にスカウトメールを打たないといけないという結論にたどりついてしまうのだ。人材紹介が転職サイトと同じサービスではいけない。そこにコンサルタントが介在する意味を理解し、“ごく普通のこと”に全力で取り組み続ける姿勢が、高い数字と満足度に表れている。
「120%の力で突っ走る性格は10年前から変わっていません。仕事に専念するため、職場から徒歩5分のところにマンションを借りているほどですから。吐き気がしそうになりながら、『あともう一通メールを打とう!』と自分の限界まで仕事をしていますね」
 笑顔でそう語る榎本だが、その根底には壮絶な覚悟が秘められている。プロのコンサルタントの定義や役割を、その生き様で示し続ける男こそ、榎本に他ならないだろう。
榎本浩樹

榎本浩樹(えのもと・ひろき)

1976年生まれ。大学時代から手に職をつけたいと、デザインの専門学校に通う傍ら、ゲーム会社でもアルバイトを行う。卒業後は、そのゲーム会社に6年ほど勤務。世界中で大ヒットを収め、誰もが知ることとなったゲームソフト ポケモンの企画・開発、営業に携わる。モノづくりが好きなことに改めて気づくも、クリエイターのサポートがしたいと思うようになり、迷わず人材紹介業へ。2年ほど紹介会社に勤めた後、ブリッジ・ワークスを設立。現在は3名の社員を抱え、クリエイター転職のトップを目指している。趣味は、仕事だ。

[Corporate profile]

株式会社ブリッジ・ワークス

クリエイターの転職を専門的にサポートしている紹介会社。ゲーム、パチンコ/パチスロ、Web、広告とクリエイティブといえども業種は多岐に渡る。転職だけではなく求人企業の商品開発や企画ができるのも強み。人材をベースとして、本当の意味でのコンサルティングを目指している。