Takahiko Kanechiku

Interviewer Back number photographs=Kenji Sakurai Interviewer=Tomomi Watanabe text=Kazuyuki Koenuma
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自己理解をすることが、 新たなキャリアを作る第一歩。
※会社名、所属部署名、役職はインタビュー当時のものです。
コンサルタント歴わずか4年。だが圧倒的な決定率を上げ、トップコンサルタントに輝いた男こそ金築氏だ。高い成果を生み出す根底にあるのは、登録者に自己理解をしてもらうこと。決して転職という形に捉われず、登録者を新たなステージに送り出し続けている金築氏のライフキャリア構築術に迫った。

成約率だけでない総合的な満足度を目指している

 再就職支援はただ成約を上げればいいのではなく、求職者の定着率や満足度も伴わなくてはいけない。そう断言する金築氏は、2013年上半期に新規求職者を46人担当し、うち面接39名(面接通過率85%)、成約人数は33人。決定率72%の実績でトップに輝いた。
「登録者のボリュームゾーンは45〜60歳の方たち。ご成約された方には毎回アンケートを実施し、常に高い満足度を目指しています。今回の受賞はコンサルタントだけでなく、求人企業開拓担当や当社が提供するセミナーなど、総合的にサービスをご評価いただけた結果だと思っています」
 また、金築氏が重視しているのは再コンサル率の低さ。再コンサルとは、一度就業が決まった方が、一定期間のうちに退社して再びサービスを受けることを指す。成約率の高さと同時に重視すべき数字なのだ。
 金築氏は元々、外資系の金融業界出身。約30年間従事したが、リーマンショックを機に転職を考え、求職者としてテンプスタッフキャリアコンサルティングに来社したところ、コンサルタントに勧められて同社で働くことに。コンサルタント歴は4年と浅いが、外資系時代に学んだ社会科学的な視点を人材ビジネスに生かし、トップコンサルタントに上り詰めた。

新たなキャリアは自己理解から作られる

 再就職支援とは、次のステップに進むための準備期間。その方たちの第二の人生のスタートであり、その目標達成を支援するのがコンサルタントの役割だと金築氏。最も大事なプロセスは、求職者に“自己理解をしてもらうこと”だという。終身雇用が当たり前だった時代、求職者の多くは自分を振り返る機会がなかった。ところが現在は、一人ひとりがライフキャリアを意識し、自己理解した上で主体的に行動する時代に差し掛かっている。そのため、転職だけでなく、年代や人生観を踏まえ、この先自分が何をして社会と付き合っていくか? という広い視野で求職者と向き合っている。
「『この方はどういった問題を抱えているか。その問題は人生の中でどういう位置づけか。どういう解決方法があるか』と話し合い、一つひとつ整理していきながら、次のステップへ進むための優先順位を決めてもらいます。一番大事な譲れないものが決まったら、それをベースにライフキャリアを考えていくんです」
 口で言うのは簡単だが、実際は難しい、と金築氏。まず必要なのは、クライアントと信頼関係を築くこと。その上で、様々な角度からたくさん話をすることで、本人の進むべき方向性を提案している。新たなキャリアは再就職だけでなく、自ら起業をするなど様々だ。実際、登録者の10%ほどが起業という選択肢を選んでいるという。

セールスポイントの明確化で見えてくること

 金築氏が日頃から求職者に伝えていることは、「セールスポイントの明確化」だという。自分はどんなことを武器にしてチャレンジしていくか、が最も大事となる。
「就業機会を得る方法は、レジュメを作成し、求人情報や人脈など、できる限り多くの接点を収集しマッチングする、という流れがオーソドックスですが、例えば、セールスポイントは職歴だけではありません。新規事業につながるアイデアを売り込む手法もあるでしょう」
 職務経歴書も、セールスポイントをいかに強調できるかが大事だ。時系列ではなく職能や強み別など、企業が要求するスキルに合わせて、強調する経験や実績、またその見せ方の順番を変えるなどしてアピールをする。求職者は、職務経歴書を書いた経験のない方が多いため、自己理解をしてもらった上で、最適な表現方法をアドバイスしていくのだ。一方で技術系の場合、求人が顕在化していなくても、技術に関連する企業に打診をしてみることもある。まずは少しでも興味を持ってもらうことが先決なのだと金築氏は言う。 「一つの企業や組織にとらわれず、 社員は自らの強みを意識し、 主体的に行動することが 求められています」

さまざまなアプローチが結果を出した事例

 印象に残っているエピソードとして、通信キャリアやゲーム会社の立ち上げから関わってきた50代のシニア層の例を挙げる。最初に登録にやって来た際は、豊富な人脈や実績があるため、すぐに転職先が決まるだろうと当人は楽観視していた。ところが30社もの企業で断られてしまったのだという。こんなはずではなかった、と落ち込むその方に対し、金築氏は自己理解してもらうために徹底的に話を聞いた。
「いろいろな話をしてもらう中で、その方は『ゲーム業界に携わっていきたい』ということに気づいたんです。ではどうすればいいのか? と考えたとき、その方自身ではなく、その方が持っていたアイデアを売り込みましょう、と提案したんです」
 いつかぜひ実現したい、と温めていたアイデアを基に資料を作り、当人のコネクションを生かして、15〜16社とアポを取った。人事担当ではなく、直接社長にプレゼンをした結果、そのうちの一社に採用され、新規事業立ち上げの執行役員として採用されたのだった。
 ほかにも、製造業出身の方の例がある。縦割り社会の製造業には、横の広がりも必要。様々な業界の人を集めて講座を開き、発想を豊かにして新製品の開発などに生かすべき。そんな問題意識を抱え、独自の講座のひな形を持っていた方に、金築氏は「企業に講座を売り込んでいきましょう」とアドバイスを送った。内容をブラッシュアップして幅広い企業に売り込んだ結果、ある協会が名乗り出て、独立支援をしてくれたという。ストレートに転職するという選択肢だけではなく、さまざまなアプローチが結果に結びついた例だ。

確実に高まる再就職支援のツール

 これまで再就職支援が必要だったのは、リストラクチャリングにともなうケースが中心だった。だが、今後は業績が上がっても、戦略的に人材のポートフォリオや社員のキャリアを再構築する企業が増えていく、というのが金築氏の見通しだ。
「資本主義において、企業は誰のものか? という議論は常にありますが、少なくとも株主を意識しない企業はありません。世界的な競争が激化する中、ますます雇用の流動化は進むでしょう。一つの企業や組織にとらわれず、社員は自らの強みを意識し、主体的に行動することが求められています」と、金築氏は流動化する雇用市場での個人の有り様を語る。30〜40代の登録者には、「50歳になったときにどんなことをしていたいのか?」と、50代の方には、「60歳を超えたらどうしたいですか?」と、金築氏は常に自己理解を促している。その上で、転職だけではなく、社会との付き合い方という意味で、さまざまな選択肢を提示しているのだ。会社に頼るだけではなく、個人レベルでキャリアを意識しないといけない時代はすでに始まっている。その新たなキャリアを歩むためのツールとして、再就職支援のニーズは確実に高まっていくと金築氏は断言した。
金築隆彦

金築隆彦(かねちく・たかひこ)

1953年7月生まれ。兵庫県出身。早稲田大学卒業後、米国オハイオ大学大学院留学。国際関係論修士課程卒業(MAIA)。バンク・オブ・アメリカ(BOA)及びHSBC(香港上海銀行)にて30年間、国際金融・キャピタルマーケットの仕事に従事。2009年4月、(株)日本DBM(現テンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社)入社。2010年4月より現職。趣味:天体観測、旅行。

[Corporate profile]

テンプスタッフ
キャリアコンサルティング株式会社

テンプグループの再就職支援専業会社として2002年に設立(1982年事業開始)。日本における再就職支援サービスの草分けで、豊富な実績と優れたコンサルティングの経験を活かして、独自のサービスを長年に渡り地道に開拓し、業界の中でトップクラスの実績を有している。