Tatsuya Kawasaki Interview file037

Interviewer Back number photographs=Kenji Sakurai Interviewer=Fumiko Kusuhara text=Kazuyuki Koenuma
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ンサルタントの介在価値と価値提供は何か?命題に向き合い続けた男が出した一つの答え
※会社名、所属部署名、役職はインタビュー当時のものです。
IT・WEBに特化したコンサルタントとして、そしてマネージャーとして、約7年間で1500人の成約を創出してきた男がいる。しかし、彼がトップに上り詰めるまでの道のりは、決して平たんではなかった。何度も壁にぶち当たり、悩み、気づきを得る。その繰り返しが、コンサルタントとして、8名のメンバーを率いるリーダーとしての彼を成長させてきたのだ。そんな彼が見据える未来と、向き合い続けてきた問いに対する答えをここに明かした。

認められた体験が自分を最も成長させた

 自分の介在価値は何か? 顧客への価値提供とは何か? コンサルタントであれば、誰もが一度は自問自答した命題だろう。マネージャーとして、約7年間で1500人の成約を創出してきた河崎もまた例外ではない。インテリジェンスに新卒入社し、右も左も分からないまま、コンサルタントとしてのキャリアをスタートさせる。成約が決まっても、「自分は何をしたんだろう?」と、介在価値を感じられないまま半年が過ぎて行った。そんなときに発生したリーマンショックが、最初の転機になった。「いい意味で心がへし折られましたね」と河崎は振り返る。ただでさえ多くなかった成約件数はますます減り、単月で1〜2名決まれば良い方、という時期すらあった。「成果を出して壇上で表彰されたい、と思って頑張っていましたが、それどころではない。プライドを捨てて地道に取り組まなければ、クライアントに価値を提供できず、成果も付いてこないと痛感しました」
 二つ目の転機が訪れたのはその数か月後。2年目になってチームが変わり、先輩から「組織に従事している以上、成果を出さないと居続けられない」「成果というのは顧客が価値を感じた対価」など、様々なことを教わった。しかし、何より大きかったのは、先輩が認めてくれたことだったという。
「コンサルタントとしてやっていけるのか、不安になっていたとき、『お前は力がある』と認めてくれたんです。今になって振り返ると、これまでの中で最も成長した瞬間でした。この人のために頑張りたいと思うようになってから、自分が変わっていきましたね」
 成長は成果となって表れた。低迷していた成約件数は周囲に追いつき、2年目の後半には引き離すように。3〜4年目は目標を毎月達成し、部内で表彰されるほどになった。心がけていたのは、登録者の話をどれだけ自分のものにするかだったという。
「カウンセリングやフォローの電話のときに、『クライアント企業の魅力はどこか』『どう感じているか』を必ず聞いていました。そこから得られる情報は俗人的かつ具体的で、教科書のようでしたね。聞いた内容を次の登録者に発信していくうちに、少しずつ『候補者が求める価値』の本質を理解できるようになりました」

アナログで顧客理解をすることこそ介在価値

 しかし5年目に再び壁に直面する。成績が上位2〜3割に入ることはできても、そこから突き抜けることができなかったのだ。そんな彼にヒントを与えてくれたのは、身近にいた伝説的な存在のトップコンサルタントだった。思えばどんな候補者に対しても、画一的な提案をしていた河崎とは異なり、そのコンサルタントは一人ひとりを理解し、タイプごとに自分のスタイルを変えて、的確な提案を行っていたのだ。「結果ばかりに目を向けていて、本当の意味での顧客理解や価値提供をしようとしていなかったことに気づきましたね」と河崎。反省とそこで得た気づきをきっかけに、再び躍進が始まった。6年目の終わりにはグループリーダーに抜擢される。同時に、それまで担当していた年収400〜500万円の領域から、それ以上の年収層を任されるようになった。求職者の年齢層も上がり、優秀な人材の比率も増える中、河崎はコンサルタント業務にますます真摯に取り組むようになる。
「生半可に顧客理解をしたふりをすると、必ず見破られます。今までのスタイルでは、適切なマッチングも、ワクワクさせる未来の情報提供もできないですから。アナログでいかに顧客理解をするかが求められます」
 アナログで顧客理解をすること。それは、この先コンサルタントに求められる必須のスキルだと河崎は断言する。自動マッチングや自動レコメンドなど、デジタル化が進む中でも、アナログでしか対応できない領域は必ずある。例えば企業の価値観や個人の働き方の多様化に対応し、未来の提示を行うことがその一つ。
「システムは、過去から算出することは得意ですが、未来予測はできません。マーケットの動きを予測し、候補者の属する業界やキャリアは今後どうなっていくか、意見として明示するのが私たちの役割です」
 最終的な意思決定は候補者にあるが、意見がない提案にはそもそも価値がない。コンサルタントの介在価値と価値提供を追求し続け、たどり着いた一つの答えを河崎は口にした。 コンサルタントがアナログで行う領域、すなわち想像力と仮説力も私たちの介在価値なのです。

市場拡大には企業の価値観を変えることが必要

 現在、河崎はマネージャーとして8名のメンバーを率いている。業務の9割がマネジメントになった現在、心がけているのはメンバーを認めた上で強みを見出すこと。もちろん、かつての自分の経験がベースになっている。
「承認欲求が満たされないと前向きになれないし、結果を追うことさえ難しくなります。特にハイキャリアの顧客はレベルが高く、指摘を受けることも多いため、承認欲求が満たされることも少ない。そんな中で味方になれるのは上司です。改善点は指摘しつつ、『君のこういうところは顧客に刺さるよね』『この能力はチームでも随一だよね』と自信を持たせることが、育成という観点で最も大事です」
 そんな彼が率いるグループの目標は明確で、担当するハイキャリアのIT領域で、業界でのシェアナンバーワンを獲得すること。競合ひしめく中、限られたリソースの中で、いかに決定数を最大化させるかだと河崎は言う。
「内部改善により一定の伸びはあっても、求人・登録者それぞれを増やさない限り限界が来ます。弊社の人材紹介ではこれまでメインでなかったハイキャリア領域に目を向け、企業の価値観を変える啓蒙をしていくことが戦略の一つです」
 例えば、プレイヤーとしての即戦力人材を希望しているクライアントに、「現在の貴社の経営課題や組織課題を考えた際に、プレイヤーとしてだけでなくマネジメントや事業開発にも携わっていたベテラン人材をご検討頂きたい」と紹介をする。決定になれば、企業は「プレイヤーとしての即戦力性だけでなく、シニアのゼネラリスト人材も見たい」と凝り固まった人材要件にこだわらなくなり、結果的にマーケットの拡大になるのだ。
 「コンサルタントがアナログで行う領域、すなわち想像力と仮説力も私たちの介在価値なのです」と河崎。業界ナンバーワンを目指したいという。この目標は、単に規模の追求だけを指しているのではなくコンサルタントがモチベーションを高く持って働く動機づけになると考えている。「与えられた予算目標をクリアするのも大事ですが、それだけを見て良い、悪いという感情のブレは極力なくすべき。一年くらいのスパンで見たとき、波はありながらも継続的に伸びていることを示せることが、メンバーのモチベーション維持でも、事業拡大という意味でも必要です」
 最近はITチームに加え、営業職のハイキャリア領域も任されるようになったトップコンサルタント。やるからにはもちろん、シェアナンバーワンを目指しますよ、と意気込みを見せる。どん底に落ち、這い上がってきた経験があるからこそ、多くのことを学んだ。トップコンサルタントと呼ばれるようにもなった。それでも、コンサルタントとして課せられた命題に、河崎はこれからも誰よりも真摯に向き合っていくのだろう。

  • 仕事中はもちろん、オフの日も必ず持ち歩いている。日曜日は毎週カフェに行き、思いついたことを書いたり、考えをまとめたりして月曜日に備えている。
  • 腕時計が好きで何本も所有している。この日は革のベルトに、ブルーの文字盤が映える一本を着用。
  • 愛用している名刺入れ。シックでシンプルなデザインが信頼を呼ぶ。ミント味のお菓子は、候補者と会う前など気分を引き締めるときに。

河崎達哉(かわさき・たつや)

1984年11月12日生まれ。神戸出身。同志社大学経済学部卒業後、2008年にインテリジェンスに入社し、キャリアコンサルタントとしてのキャリアをスタート。IT領域のアプリケーションエンジニア、インフラエンジニアを共に担当し、3年前よりIT領域のハイキャリア層を担当。直近はマネージャーとして従事。

[Corporate profile]

株式会社インテリジェンス

1989年創業。人材紹介・求人情報サイト「DODA」運営のほか、派遣やアウトソーシング、求人情報「an」「salida」など、「人と組織を多様な形で結ぶ『インフラとしての人材サービス』を提供し、社会発展に貢献する」という存在意義のもと、より多くの人と組織の最適なマッチングを実現するとともに、組織の課題解決につながる最適なソリューションの提供を目指している。