Kosuke Ishino

Interviewer Back number
HOME INTERVIEW > Interview File5
不況を苦にしない男。
※掲載のインタビュー記事は、ポーターズマガジンVol.05(2010年2月)から抜粋したのものです。
※会社名、所属部署名、役職はインタビュー当時のものです。
紹介業界が混迷を極めた昨年においても、売上を伸ばしたコンサルタントはいるだろう。しかし、その大半は不況に左右されない業界に特化していたはず。石野幸助は、今回の不況の影響が特に大きかった業界を得意分野にしている。そこが違う。不景気・好景気はこの男の眼中にない。日々「やるべきことを、やるだけ」だ。
 20代では数少ない、男っぽさを全面に出した気骨のあるタイプ。インタビュー中は、オブラートに包まず、明確・論理的に持論を展開した。第一印象では、武闘派・体育会系という言葉が浮かんだが…インタビューを終えると、合理主義者でありつつも、その反面、情の厚い男だということがよく分かった。
 このコーナーに登場する人物の第一条件は、業界水準を遥かに上回る個人売上だ。トップコンサルタント・石野幸助も、年間・数千万円の売上をコンスタントにあげているが、今回特に着目したのは、2009年においても彼が個人売上を伸ばした点である。しかも、石野の得意とする業界は、不況の影響が特に大きかった建設不動産にも関わらずである。
 「ここ数年、僕の個人売上は、前年比約15%増で推移しています。それは、昨年も変わりません。パフォーマンスは瞬間的に出すのではなくて、安定的に出し続けることが重要だというのが持論です。だから、景気の変動に一喜一憂することはありません」。
 その言い方にひっかかった。限界まで仕事に打ち込んで前年比を上回ってきたというよりも、自分自身で潜在能力をコントロールして前年比増を続けている、とも聞こえる。
 「それは際どい質問ですね。100%力を出し切っているかと問われれば、もしかすると答えはNOなのかもしれません。設定した売上目標を達成したら、余力を社内の他のコンサルタントのサポートの方へ…言い訳のように聞こえますかね?」。
 誰もが、ビジネスは結果が全て、と耳がタコだらけになるほど聞いているだろうが、今回はあえて『同じ売上でも中身によって価値が違う』という立場をとりたい。「なるべく通常の紹介業務に割く時間を短くしたい」と石野は言う。その分、生み出した時間をチームメンバーのサポートの他に、新規事業の構築にあてている。
 昨年、石野はある仮説を立てた。「建設系の求職者のレスポンスがあまりにも悪い。登録されたアドレスにスカウトメールを出しても返信数が少なすぎる。そこで、仮説を立てたんです。彼らは忙しくて、パソコンを開く暇がないのでは、と。この仮説を証明するために、特定の資格を持つ建設系技術者専門の携帯サイトを自分で構築しました」。
 彼の仮説が的中し、パソコンでは考えられないエントリー数の獲得に至った。その結果、約500万円の利益が出た。しかし、それは石野にとって、わずか数件成約すれば作れる数字だというのも事実。誰が考えたって、新たな携帯サイトを構築する方がハードルが高い。彼はこうも言った。「携帯サイトという、自分が作った仕組みでお金の生まれる音が、ほんのわずかですが聞こえた気がします。結果には、全然納得出来ていませんが———」。
 石野は自身を「あらゆることに仮説を立てる仮説魔」だと表現する。そんな仮説魔に対して、仮説を立ててみた。彼は口にはしないが心の中では「給料をペイする以上の売上さえ達成すれば、あとは何をやっても自由だろ。文句あんのかよ」と強烈に思っているのだろう、と。
 誰かが作った従来の枠組みに寄っかかり、数字を上げる方が利口かもしれない。しかし、業界全体の意識がそちらに向かって未来はあるか。仮説と実証を繰り返す、石野のような存在に紹介業界の光を感じないか。  さきほど上げた石野に対する仮説の真偽のほどは、本人に聞いてみないと分からない。

「不況を苦にしない男」の行動を読み解く

——石野さんは、昨年のあれだけの不況下でも、個人売上の数字を伸ばされたそうですね。景気の良かった時期と昨年を比べて、行動パターンで変えた部分はありますか。
「景気の良い時期よりも、時間を費やして売上を何とか増やした、と思われているのかもしれませんが、それはないですね。例えば、僕の労働時間は業界のコンサルタントの平均より、かなり少ないと思います。キャンディデイトの面談がある日でも20時前後、面談がなければ19時に退社することもよくあります。土日も完全に休むことが多く、しかも休み中は仕事のことは全く考えないタイプです」
——となると、業務の進め方で工夫されている点があるのですね。
「これは記事になると、なんだそんなもんか、と思われるかもしれませんが、細かい効率化の積み重ねで、全体の業務を合理化しています。メールを打ちながら電話をする、など併行して行える業務はなるべくそうします。また、ショートカットを覚えたり、辞書登録をまめにしたり、パソコン作業の効率化も行っています。マウスもなるべく動かしたくないので、トラックボールタイプを使っています。あと、デジモノ、新機能を持ったビジネスツールも積極的に取り入れる方ですね。こういった細かい工夫で例をあげていけば、キリがないかもしれません」
——細かい努力を積み重ねれば、短い労働時間でも効率的に結果は出せる、と。
「大きな部分での工夫も合わせて必要です。自社で導入している業務管理システムは相当活用しています。ワンクリックいくらで費用がかかるわけではないですから、使いこなした方がいい。やはり、デジタルでしか出来ないことも数多くあるわけですから。例えば、僕はシステムを活用して、月に1回、自分がその月に行ったプロセスの分析を行っています。エントリーからの成約率、書類選考率などの数字を出して、自己分析をしています。このデータが業務の効率化を進める上で大変役立っています」
——根っからの合理主義者ですね。
「それは良く言われます。合理主義者だとか、理詰めだとか。もともと東京理科大学の出身で、統計学なども学んでいました。完全な理系の脳なんですね。だからでしょう、求人企業の担当者へのヒアリング時も、どこまでも『それは、何故ですか?』と聞いてしまいます。お話していると次々に疑問が浮かんでくる。そして、その疑問のきちんとした答えが、自分の中で見つかるまで行動に移せないのです。この『何故』は仕事に限らず、『何故、サッカーのルールは手を使ってはいけないのか』『何故、麻薬は禁止されているのか』というところまで及んでしまいます。一つ一つ浮かんだ疑問に対して、たぶんこういう理由だからだろう、と自分で仮説を立て納得できるまで考え抜く、そんなタイプです」
——紹介会社のコンサルタントとしては理想的な性格とも言えますね。
「御用聞き的なコンサルタントではない、という点ではそうかもしれませんね。でも、あまりに突っ込んで質問してくるので、小生意気なやつだな、と感じる人事担当者も多い気がしています。僕の『それは、何故ですか?』の質問に、意味があるかないかは、結果で証明するしかありませんが」
2次へ
石野幸助

石野幸助(いしの・こうすけ)

東京理科大学卒業後、株式会社インテリジェンス入社。2006年7月、株式会社セレブレイン入社。同年9月より、取締役の日比氏と共に紹介事業に注力。ITの知識を独学で覚え、IT業界を中心とした求人企業を開拓をスタートさせ、約半年で成約を出し始める。現在、セレブレインの紹介部門の主任コンサルタントとして、自身で数字を出しつつも、メンバーをとりまとめるチームリーダー的役割を担当。

[Corporate profile]

株式会社セレブレイン

主要事業:「人事・経営」「教育・研修」「採用」などの領域のコンサルティング、福利厚生サービス、エグゼクティブサーチ、人材紹介・キャリアコンサルティング、ビジネスインキュベーション