Hiroki Enomoto

Interviewer Back number Interviewer=Tomomi Watanabe photographs=Takumi Hatano
HOME INTERVIEW > Interview File7
クリエイターをサポートしたい その気持ちが、人を動かす
※※掲載のインタビュー記事は、ポーターズマガジンVol.07(2010年8月)から抜粋したのものです。
※会社名、所属部署名、役職はインタビュー当時のものです。
このコーナーの特性上当たり前なのだが、またもや素晴らしい人物をご紹介することになる。
クリエイターに特化した紹介サービスを行う、ブリッジ・ワークス率いる榎本だ。
外見とは裏腹に人を引き込む不思議な魅力を持った人物の、仕事に対する想いを聞いた。

企業は必ず、欲しい人材像を持っている

 細身の男は礼儀正しく、丁寧に名刺交換をしてくれた。シャイな雰囲気は一見、大人しい印象を与えたが、その実、凄まじいエネルギーの持ち主で、一本筋が通っていた。
 榎本の売上げ目標は月額平均380万円、一人単価90万〜95万円を月に4件紹介すること。4月、5月は6人と、目標を余裕でクリアしている。最近の実績では6月末に面談した候補者を7月中旬に紹介した。その間、僅か2週間。数字といい、スピードといい、トップと呼ぶに申し分ないだろう。
 なぜそれほどの売上が出せるのか?率直に聞いてみた。「コンサルタントとしてクリエイターのサポートがしたいだけです」。何度となく聞かされることとなったこの言葉は榎本の行動力の源泉であり、揺らぐことのない本質でもあった。
 優秀なコンサルタントのご多分に漏れず、榎本もヒアリングには力を注ぐ。ブリッジ・ワークスが特化しているのはクリエイティブ業界。求人企業に赴けばそこでどんなプロジェクトがあり、予算はいくらで、どんなチームを組む予定なのか。片っ端から聞いていくという。社員と同じか時にはそれ以上の情報を共有し、課題を自分のことにするのだ。場合によっては「そのプロジェクトであれば、こういった人材を採用したほうが得策では?」と求人票にない職種を紹介することもある。
 一次、二次の面接を免除されることも珍しくない。「その代わり、1を聞いたら10応える必要がありますけどね」。信頼される分、求められるものも大きくなる。マッチングの精度に自信があるという榎本によれば「企業は欲しい人材の答えを、必ず持っています」とのこと。詰め将棋のように論理的に、正確に、その答えを導き出すと教えてくれた。
 だが、もし自社に相応しい人材がいなかった場合には、ためらうことなく他社を紹介する。なんと、高潔な!クリエイターはもちろんのこと、クリエイティブ業界全体をサポートしたいのであろう。そう考える榎本にとって、自社の利益は二の次で構わないのだ。「よく『変わってる会社だね』って言われます」

実績に頼らず、つくる側から支える側へ

 変わっている点は他にもあった。同社ではゲームや商品開発の、企画段階から携わることもあるのだ。これこそが、榎本の目指す本当のコンサルタント業務である。もちろん、それにはこれまでの経歴に拠るところが大きい。榎本は大学卒業後、世界的ゲームキャラクター ポケモンを生んだゲームフリーク社で企画や開発、営業に6年ほど携わる。ゼロからモノづくりを行い、売るところまで考えられる強みを持っていた。
 5万本売れればヒットとされるゲームソフト業界の中で、ポケモンは500万本の売上を記録。「正直、ライバルはいませんでした」。前作をいかに越えるかが自分にとっての目標だったという。
 榎本の人柄を表すのにぴったりな、ゲームフリーク社時代の想いを語ってくれた。「版権を使用していただくことでロイヤリティ収入を得る立場なのに、ほとんどの版権元が偉そうにしていたんです。私の会社ではどれだけ売れても、使ってもらってありがとうございます! その気持ちだけは忘れずに仕事をしていました」。いまだにヒットを続けている要因は、きっとキャラクターのカワイらしさだけではないのだ。謙虚な気持ちは、風貌から滲み出ていた。
 輝かしい実績を残すと、次第に「つくる側から支える側になりたい!」と思うようになる。話すことやコミュニケーションが好きだったことから、気になったのが人材業界。派遣業は知っていたが、紹介業の行うコンサルティングが「単なる御用聞きではない」という点に惹かれた。人材というフィールドでありながら、クリエイティブ業界のコンサルティングにトータルで関わりたいと思うのは、榎本が紹介業を選んだ時点で当然のことだった。
2次へ
榎本浩樹

榎本浩樹(えのもと・ひろき)

1976年生まれの33歳。大学時代から手に職をつけたいと、デザインの専門学校に通う傍ら、ゲーム会社でもアルバイトを行う。卒業後は、そのゲーム会社に6年ほど勤務。世界中で大ヒットを収め、誰もが知ることとなったゲームソフト ポケモンの企画・開発、営業に携わる。モノづくりが好きなことに改めて気づくも、クリエイターのサポートがしたいと思うようになり、迷わず人材紹介業へ。2年ほど紹介会社に勤めた後、ブリッジ・ワークスを設立。現在は3名の社員を抱え、クリエイター転職のトップを目指している。趣味は、仕事だ。

[Corporate profile]

株式会社ブリッジ・ワークス

クリエイターの転職を専門的にサポートしている紹介会社。ゲーム、パチンコ/パチスロ、Web、広告とクリエイティブといえども業種は多岐に渡る。転職だけではなく求人企業の商品開発や企画ができるのも強み。人材をベースとして、本当の意味でのコンサルティングを目指している。